進学の基礎知識

クリエイター就職のポートフォリオの作り方|在学中に何を積むか

クリエイター就職のポートフォリオの作り方。採用担当が見る3項目と、在学中に積み上げる方法を解説

「ポートフォリオって、いつから作ればいいの?」「進学したら学校が教えてくれるの?」。

クリエイター職の選考では必ず提出を求められますが、就職活動が始まってから作り始めると間に合いません。在学中に積み上げるものだからです。

本記事では、採用担当が見る項目と、在学中に何を積むかについて、企業や人材サービスが公表している情報をもとに解説します。

読み終えるころには、進学前の段階で何を確認すべきかと、入学後の2年をどう使うかが分かります。

この記事でわかること

  • ポートフォリオで見られている内容
  • 作品に必ず添える3項目
  • 準備できている人が4人に1人という現実
  • 在学中の2年で何をいつ作るか
  • 学校選びの段階で確認すべきこと

この項目の情報基準日:

この記事の情報源

採用側の視点は、ゲーム会社の採用担当およびクリエイター向け人材サービスが公表している情報にもとづいています。求められる形式は企業によって異なるため、応募先の募集要項を必ずご確認ください。

クリエイター進学ナビ 編集部 各学校が公表する募集要項・学校案内・公式サイトをもとに、クリエイター系専門学校の学費・課程・入試・就職を調査し執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

ポートフォリオとは何か

自分の作品をまとめた作品集です。クリエイター職の選考では、これが判断の中心になります。

クリエイター職の選考で見られるもの

履歴書で分かること

  • 学校名と学科
  • 取得した資格
  • 志望動機の文章

ポートフォリオで分かること

  • 実際に作れるものの水準
  • 制作にかかる時間
  • 扱えるソフトと得意分野
  • 完成させる力があるか

クリエイター職では後者が判断の中心になる。学校名は書類の1行にすぎない。

図1:履歴書とポートフォリオで見られるもの

履歴書で分かるのは学校名と資格までです。実際に何が作れるのかは、作品を見なければ判断できません。

学校名は選考の1行にすぎない

採用担当が知りたいのは、入社後に何を任せられるかです。学歴よりも、提出された作品の水準がその答えになります。

これはフリーランスとして依頼を受ける場合も同じです。作品がなければ、判断の材料が存在しません。

採用担当が見る3項目

作品を並べるだけでは足りません。1点ごとに添える情報があります。

作品ごとに必ず添える3項目

1制作時期

いつ描いたか。成長の度合いが伝わる

2制作時間

1枚に何時間か。業務スピードの判断材料

3使用ソフト

何で作ったか。入社後すぐ動けるかの目安

ゲーム会社の採用担当が公表している必須項目。作品だけを並べても評価されない。

図2:作品に添える必須の3項目

制作時期、制作時間、使用ソフトの3つです。ゲーム会社の採用担当が、必ず記載するようにと公表している項目になります。

制作時間が重視される理由

意外に思われるのが制作時間です。ゲーム制作の現場では、技術の高さだけでなく速度も重視されるためです。

イラスト1枚にどれくらいかかるか、表情差分を含めるとどうか。実際の業務スピードに合わせた制作ができるかの判断材料になります。

制作時期が伝えるもの

いつ描いたかを書くと、テイストの変化や成長の度合いが伝わります。1年前と現在で明確に上達していれば、それ自体が評価材料です。

逆に日付がないと、その作品が今の実力なのか判断できません。採用側は最新の実力を知りたがっています。

準備できている人は4人に1人

ここに現実的な事実があります。ポートフォリオを準備できている人は、それほど多くありません。

ポートフォリオを準備できている人の割合

  • 準備できている26.5%
  • 準備できていない73.5%

マイナビクリエイターの調査。作って持っているだけで、上位4分の1に入れる状態。

図3:ポートフォリオの準備状況

マイナビクリエイターの調査によると、準備ができている人は26.5%でした。作って持っているだけで、上位4分の1に入れる状態です。

企業側も選びようがない

クリエイター職の採用では、ポートフォリオがなければ選考が始まりません。企業側にとっても判断材料がないためです。

つまり、完璧を目指して作り始められないより、まず形にするほうが前に進めます。

作りながら直していけば十分です。最初から完成度の高いものを作ろうとして、着手が遅れるほうが不利になります。

診断:いまのあなたが最初にやるべきこと

いまの状況に、いちばん近いものを1つ選んでください。

講評の回数を学校選びの基準に入れる

ポートフォリオの質は、講評を受けて直した回数で決まります。学校選びの段階で、1人あたり年に何回の講評があるかを確認してください。

まず1枚を最後まで完成させる

上手い絵を描くことと、1枚を仕上げることは別の能力です。完成させる経験を早めに積んでください。

3項目を添えることから始める

制作時期、制作時間、使用ソフトを全作品に書いてください。作品を並べるだけでは、採用担当は判断できません。

バリエーションを点検する

同じ構図や画風ばかりになっていないかを確認してください。得意分野に加えて、幅が伝わる作品を足す段階です。

未完成を混ぜずに、完成品だけで構成する

数が少なくても、完成しているほうが評価されます。準備できている人は4人に1人という調査もあり、持っているだけで前進です。

在学中の2年で何を積むか

専門学校の2年制を例に、時間配分を整理します。

2年制の場合、いつ何を作るか

  • 1年目 前半基礎とソフトの操作を覚える完成より習得を優先
  • 1年目 後半完成作品を作り始める1枚を最後まで仕上げる
  • 2年目 前半バリエーションを増やす得意以外も1点ずつ
  • 2年目 夏までポートフォリオを形にする就活の開始に間に合わせる
  • 選考前最新作に差し替える古い作品は外す

2年目の夏には形にしておく。就職活動が始まってから作り始めると間に合わない。

図4:在学中のスケジュール

1年目の前半は基礎とソフトの習得に使い、後半から完成作品を作り始めます。2年目の夏には形にしておく必要があります。

就活が始まってからでは遅い

2年制の場合、就職活動は2年目に始まります。そこから作り始めると、完成度の低いものしか出せません。

課題をそのまま作品にできるかが鍵です。授業の課題を、提出して終わりにせず仕上げ直す習慣を作ってください。

課題以外に描く時間が要る

授業の課題だけでは、バリエーションが偏ります。得意分野以外の作品を自分で足す必要があります。

この時間を確保できるかどうかが、通い方を選ぶときの判断材料にもなります。

アルバイトを詰め込みすぎると、制作の時間が消えます。学費と生活費の計画は、制作時間の確保とセットで考えてください。

職種別に必要なもの

見せるものは職種で変わります。

職種によって、見せるものが変わる

イラスト

見せるもの

キャラ・背景・線画と塗り

▼

幅と完成度

3DCG

見せるもの

モデル・テクスチャ・ワイヤー

▼

工程も見せる

映像

見せるもの

尺の短い完成作品

▼

編集の意図

3DCGは完成画像だけでなく、ワイヤーフレームなど制作過程も評価対象になる。

図5:職種別に見せるもの

職種 中心に見せるもの 加えて求められるもの
イラストレーター キャラクターと背景の完成イラスト 線画と塗りの両方、幅の広さ
3DCGアーティスト モデルとテクスチャ ワイヤーフレームなど制作過程
映像クリエイター 尺の短い完成作品 編集の意図と担当範囲
マンガ 完成した読み切り ネームと構成力

3DCGでは完成画像だけでなく、制作過程も評価対象になります。どう作ったかを示せると、技術の理解度が伝わります。

学校選びの段階で確認すること

ここが進学前にできる準備です。学校によって、作品を積み上げやすさが変わります。

進学前に確認すべき5つ

講評は1人あたり年に何回受けられるか

▼

外部の評価を受ける機会があるか

▼

在校生の作品はどの水準か

▼

機材を授業時間外に使えるか

▼

ポートフォリオ制作の授業があるか

講評の回数が、そのまま作品の質を上げる回数になる。

図6:学校選びで確認すること

最も重要なのが講評の回数です。作品の質は、指摘を受けて直した回数で決まります。

外部の評価を受ける機会

学内の講評だけでは、水準が内輪で完結します。持ち込み、公募展、企業の作品審査会など、外に出す機会があるかを確認してください。

オープンキャンパスで聞くべき項目は、別記事にまとめています。

在校生の作品を見る

その学校の在校生が作っている作品が、2年後の自分の水準の目安になります。卒業制作展や公式SNSで確認してください。

目標にしたいと思える水準かどうかで判断します。

作品を見せてもらえない学校は、その時点で判断材料になります。実績に自信があれば、見せない理由はありません。

やりがちな失敗

作ったあとに評価されない状態も、パターンが決まっています。

評価されないポートフォリオの特徴

避けたい状態

  • 制作時期も時間も書いていない
  • 同じ構図・同じ画風ばかり
  • 未完成の作品が混ざっている
  • 1年以上更新していない

目指したい状態

  • 3項目が全作品に添えてある
  • 得意と幅の両方が伝わる
  • すべて完成している
  • 最新作が先頭にある

古いまま使い回すと、現在の実力が伝わらず不利になる。

図7:失敗しやすい点と目指す状態

最も多いのが、一度作ったきり更新していないケースです。人材サービスの担当者も、何年も更新していないポートフォリオが提出される例を指摘しています。

バリエーション不足

同じ構図、同じ画風の作品ばかりでは、対応できる範囲が狭いと判断されます。ゲーム会社ではとくにバリエーションが重視されます。

得意分野を軸にしつつ、苦手な分野も1点ずつ入れておくと幅が伝わります。

ただし苦手なものを無理に増やす必要はありません。「これだけは誰よりも得意」と言える軸があることのほうが重要です。

紙とWebの使い分け

形式にも決まりがあります。どちらか一方ではなく、役割が違うと考えてください。

紙とWebは役割が違う

紙(A4・B4が中心)

  • 面接で手に取ってもらえる
  • 順番を自分で設計できる
  • 持ち運びやすさで判断

Web

  • 応募時にURLで送れる
  • 更新が容易
  • 動画や3Dを見せやすい

応募先の指定を優先する。両方求められる場合もあるため、早めに両形式を用意する。

図8:紙とWebの使い分け

面接で手に取ってもらうなら紙、応募時に送るならWebです。応募先の指定がある場合は、それを優先してください。

診断:あなたが直すべき点はどれか

いまのポートフォリオに、いちばん近いものを1つ選んでください。

3項目を全作品に追加する

制作時期は成長度合い、制作時間は業務スピード、使用ソフトは入社後の即戦力性を伝えます。これがないと判断材料になりません。

苦手分野も1点ずつ足す

キャラだけでなく背景、男性だけでなく女性、といった幅を見せてください。ゲーム会社ではバリエーションが重視されます。

最新作に差し替える

古いポートフォリオでは現在の実力が伝わりません。半年以上前の作品しかない場合は、作り直す時期です。

完成品だけに絞る

未完成の作品は、完成させる力がないという印象を与えます。点数が減っても、完成品だけで構成してください。

応募先の指定を優先する

面接で手に取ってもらうなら紙、応募時に送るならWebです。両方求められる場合もあるため、早めに両形式を用意してください。

よくある質問

ポートフォリオについて、多い5つの疑問に答えます。

何枚くらい必要ですか?

枚数より完成度と幅が重視されます。未完成の作品を混ぜて数を増やすより、完成品だけで構成するほうが評価されます。

いつから作り始めればよいですか?

2年制なら1年目の後半からです。2年目の夏には形にしておかないと、就職活動に間に合いません。

絵が下手でも作る意味はありますか?

あります。準備できている人は26.5%という調査もあり、持っているだけで選考のスタートラインに立てます。

紙とWebのどちらがよいですか?

応募先の指定に従ってください。面接で手渡すなら紙、応募時に送るならWebが向きます。

両方を求められる場合もあるため、早めに両形式を用意しておくと安心です。

学校が作り方を教えてくれますか?

指導する学校もありますが、内容は学校によります。ポートフォリオ制作の授業があるか、説明会で確認してください。

まとめ:講評の回数が、質を決める

本記事では、ポートフォリオの必須3項目と、在学中の積み上げ方について解説しました。

作品に添えるのは制作時期、制作時間、使用ソフトの3つです。作品だけを並べても、採用担当は判断できません。

そして作品の質を決めるのは、講評を受けて直した回数です。描いた量だけでは足りません。

学校選びの段階で、講評の回数と外部評価の機会を確認してください。この2つが、2年後の作品の水準を左右します。