「音楽の専門学校って、実際いくらかかるの?」「行っても意味がないと聞いた」。
調べ始めた人がまず不安になるのがここです。検索して出てくるのは学校の一覧か、数年前に書かれた体験談ばかりで、判断の材料が見つからないからです。
本記事では、学費の総額と進路の分かれ方について、公式サイトで確認した実額をもとに解説します。
読み終えるころには、自分が目指すのはどちらの道か、そして必要な金額が具体的な数字で見えるようになります。
この記事でわかること
- 音楽の専門学校で実際に学ぶ内容
- アーティストと業界就職で、進路がどう分かれるか
- 年間学費の内訳と、卒業までの総額
- 認可校と無認可のスクールの違い
- 学校を比べるときに見るべき5つの基準
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学費は各校が公式サイトで公開している入学金・学費一覧にもとづく実額です。学校や年度によって金額は変わるため、志望校の公式サイトで最新の金額を必ずご確認ください。
音楽の専門学校では何を学ぶのか
演奏の練習だけをする場所ではありません。作る側と支える側の学科もあります。
音楽の仕事は大きく3つの系統に分かれる
作る
作曲・DTM
トラックメイク・編曲・レコーディング
▼
クリエイター
学科は入学時に選ぶ。演奏系と裏方系では、必要なスキルも進路もまったく違う。
図1:音楽の専門学校で学ぶ内容
演奏する、作る、支えるの3系統です。どの系統を選ぶかで、卒業後の進路が大きく変わります。
設備を使えることの意味
練習室、レコーディングスタジオ、PA機材は個人で用意できるものではありません。時間を気にせず使える環境は学校ならではです。
その維持費が学費に含まれています。機材を使える時間の長さが、そのまま制作できる量につながります。
同じ目標の仲間が見つかる
バンドやユニットを組む相手が見つかるのも環境の一部です。演奏系では、この点が独学との大きな違いになります。
音響やビジネス系でも、卒業後に現場で再会することがあります。人のつながりが仕事につながる業界です。
ただし人脈は自動的に手に入るものではありません。在学中に誰とどれだけ組んだかで、卒業後に残るものが変わります。
目指せる進路は大きく2つに分かれる
音楽の専門学校を語るときに、いちばん整理されていない部分がここです。
同じ学校でも、目指す場所で進み方が変わる
アーティストを目指す
- オーディションに挑み続ける
- 結果が出る時期は読めない
- 活動を支える収入源が要る
業界就職を目指す
- 音響・制作・楽器店などへ就職
- 求人があり進路が読みやすい
- 技術と資格が評価される
同じ学校に通っても、この2つでは在学中の動き方がまったく違う。
図2:音楽の専門学校から分かれる2つの進路
アーティストを目指す道と、業界就職を目指す道があります。同じ学校に通っても、この2つでは在学中の動き方がまったく違います。
アーティストは結果の時期が読めない
デビューはオーディションや評価によって決まります。在学中に決まる人もいれば、卒業後に決まる人もいます。
活動を続けるための収入源をどう確保するかまで、進学前に考えておく必要があります。
裏方は進路が読みやすい
音響、制作、楽器店、イベント会社などには求人があります。技術や資格が評価されるため、就職活動の形が一般的な進路に近くなります。
進路によって、就職先の種類も変わります。
学費はいくらかかるのか
まず年間の学費を見ます。2年制の実例では年間149万円です。
年間学費149万円の内訳(2年制の実例)
- 設備充当費35万円
- 授業料94万円
- 実習費20万円
スタジオやレコーディング機材の維持費が設備充当費にあたる。名称は学校で異なる。
図3:年間学費の内訳
内訳は設備充当費35万円、授業料94万円、実習費20万円です。スタジオやレコーディング機材の維持費が設備充当費にあたります。
教材費と学友会費を忘れない
学費の表に載らない費用があります。実例では教材費が7万〜8万円、学友会費が毎年1万円かかります。
ノートパソコンを自分で用意する学校もあります。学費表の金額だけで予算を組むと足りなくなります。
楽器を持っていない場合は、その購入費も加わります。3年制で試算すると、学費462万円に教材費と学友会費で473万円前後になる計算です。
卒業までの総額
年間学費だけでは判断できません。入学金15万円を足して、卒業までの合計を出します。
入学金15万円を含めた、卒業までの総額の実例
教材費7万〜8万円と、毎年1万円の学友会費は含まない。
図4:修業年数別の総額
1年制で169万円、2年制で313万円、3年制で462万円です。修業年数がそのまま総額に効いてきます。
コースと年数の選び分け
修業年数は総額に直結します。何が変わるのかを整理します。
1年制・2年制と3年制で、何が変わるのか
1年制・2年制
- 短期間で集中して学ぶ
- 専攻が絞られていることが多い
- 総額169万〜313万円
3年制
- 幅広い分野を横断して学べる
- 進路を決める時間がある
- 総額462万円
2年制と3年制の差は149万円。1年分の授業と時間を買うかどうかの判断になる。
図5:修業年数による違い
2年制と3年制の差は149万円です。1年分の授業と、進路を決める時間を買うかどうかの判断になります。
やりたい分野が決まっているなら短い年数、迷っているなら幅広く学べる年数という選び方が現実的です。
ただし開講しているコースは校舎で変わります。志望する専攻が通える校舎にあるかを、先に確認してください。
認可校と無認可のスクールがある
音楽分野は、この区別がとくに重要です。無認可のスクールが多い分野だからです。
音楽分野は無認可のスクールが多い
認可校(専修学校)
- 専門士の称号が付く
- 大学への編入学資格が得られる
- 通学定期の学割が使える
無認可のスクール
- 称号は付かない
- 数か月の短期コースを作れる
- JASSOの奨学金が使えない場合がある
無認可は授業時間を自由に設計できるため、短期集中型のコースを置ける利点もある。
図6:認可の有無で変わること
認可された専修学校なら専門士の称号が付き、大学への編入学資格も得られます。無認可のスクールは対象外です。
無認可には無認可の利点もある
認可校は総授業時間が定められていますが、無認可なら自由に設計できます。そのため数か月の短期コースを置けます。
短期集中で学びたい人にとっては、この自由度が利点になります。認可の有無は、教育の質ではなく設計の違いと捉えてください。
資金面には影響が出る
日本学生支援機構の奨学金が使えない学校もあります。奨学金を前提に計画を立てているなら、志望校がどちらなのかを最初に確認してください。
この違いが実際にどう効くのかは、代表的な学校を例に別記事で解説しています。
「意味ない」と言われる理由と実際
音楽の専門学校を否定する意見もあります。理由は2つに整理できます。
「意味ない」と言われる分かれ目はどこか
在学中に何を積み上げたか
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積み上げた場合
- オーディションの結果につながる
- 音響や制作の求人に応募できる
積み上げなかった場合
- 2年間が空白になる
- 「意味なかった」という体験談になる
批判の多くは後者の話。学校の質ではなく、在学中の動き方の差が結果を分けている。
図7:結果を分けるのは在学中の動き方
1つ目はデビューが保証されないこと、2つ目は独学でもできることです。どちらも事実として受け止める必要があります。
制作環境は個人で持てる時代
DTMなら、パソコンとソフトがあれば自宅で楽曲を作れます。発表の場もSNSや配信サービスが整っています。
だからこそ、学校に何を求めるのかが問われます。機材と講評と仲間を買うのか、就職支援を買うのかを明確にしてください。
批判の多くは動き方の問題
「意味なかった」という体験談をたどると、多くは在学中に何も積み上げなかった人の話です。学校の質とは別の問題です。
オーディションを受け続けた人、作品を出し続けた人の話とは分けて読む必要があります。
体験談を読むときは、いつ・どの学科の話なのかを確認してください。年度も専攻も書かれていない口コミは、判断材料になりません。
学校選びで見るべき5つの基準
校名を並べても比較にはなりません。同じ項目でそろえて初めて比べられます。
資料請求のあとに踏む5つの手順
公式サイトで年間学費と入学金を確認する
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教材費と学友会費を足して、卒業までの総額を出す
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進路実績を就職先の社名と職種まで確認する
▼
練習室とレコーディング機材を使える時間を聞く
▼
認可校かどうかと、返金されない日付を確認する
図8:後悔しないための確認手順
進路実績は中身まで見る
「デビュー多数」「業界就職に強い」という表記だけでは判断できません。確認したいのは次の3点です。
- いつの卒業生の実績か
- デビューなのか、業界就職なのか
- 就職先の社名と職種まで公表されているか
アーティストの実績と就職の実績が混ざって書かれている場合もあります。自分が目指す道の実績だけを見てください。
練習環境と機材を確認する
練習室やレコーディング機材を授業時間外にも使えるかどうかは、制作量に直結します。予約のルールと台数まで聞いてください。
楽器やパソコンを自分で用意する必要がある場合、その費用も総額に加えて計算してください。
よくある質問
音楽の専門学校について、進路相談で多い5つの疑問に答えます。
音楽の専門学校の学費はいくらですか?
入学金を含めた実例では、1年制で169万円、2年制で313万円、3年制で462万円です。教材費7万〜8万円と学友会費が別途かかります。
専門学校に行けばデビューできますか?
できるとは限りません。デビューはオーディションや評価で決まり、在学中に決まる人もいれば卒業後に決まる人もいます。
演奏が上手くなくても入れますか?
入れます。入学時に実技を問わない学校が多く、基礎から学べます。
音響やビジネス系の学科なら、そもそも演奏技術は前提になりません。
認可校と無認可校はどちらがよいですか?
学歴や奨学金を重視するなら認可校、短期集中で学びたいなら無認可校にも利点があります。教育の質ではなく設計の違いです。
独学ではだめですか?
独学でも活動している人はいます。学校が提供しているのは機材と講評と仲間、そして業界就職の支援です。
まとめ:進路を決めてから、学校を選ぶ
本記事では、音楽の専門学校で学ぶ内容、2つに分かれる進路、学費の総額、認可校との違いについて解説しました。
校名を並べて悩む前に、目指す道を決めるほうが早く進みます。アーティストなのか業界就職なのかで、選ぶ学科も見るべき実績も変わります。
用意すべき金額は、1年制で169万円、2年制で313万円、3年制で462万円です。
パンフレットの言葉ではなく、公式の学費一覧と進路実績の中身で判断してください。そこまで確認できれば、あとは在学中に何を積み上げるかの問題になります。