マンガ・イラスト

漫画の専門学校とは?学費・選び方・卒業後の進路を実額で解説

漫画の専門学校の学費と選び方を実額で解説。入学金を含む総額は通い方で233万円から441万円、選び方の基準は5つ

「漫画の専門学校って、実際いくらかかるの?」「学校ごとに何が違うのか分からない」。

調べ始めた人がまず行き詰まるのがここです。学校紹介サイトには校名がずらりと並ぶだけで、何を基準に比べればよいのかが示されないからです。

本記事では、漫画の専門学校の学費と選び方について、公式サイトで確認した実額をもとに解説します。

読み終えるころには、自分に合う通い方と、卒業までに必要な金額が具体的な数字で見えるようになります。

この記事でわかること

  • 漫画の専門学校で実際に学ぶ内容
  • 年間学費の内訳と、卒業までの総額の目安
  • 2年制・3年制・週3日・オンラインの選び分け
  • 学校を比べるときに見るべき5つの基準
  • 卒業後にどの道へ進むことになるのか

この項目の情報基準日:

この記事の情報源

学費は各校が公式サイトで公開している入学金・学費一覧にもとづく実額です。学校や年度によって金額は変わるため、志望校の公式サイトで最新の金額を必ずご確認ください。

クリエイター進学ナビ 編集部 各学校が公表する募集要項・学校案内・公式サイトをもとに、クリエイター系専門学校の学費・課程・入試・就職を調査し執筆しています。掲載内容には情報基準日を明記しています。

漫画の専門学校では何を学ぶのか

絵の練習だけをする場所ではありません。作品を最後まで完成させ、人に見せるところまでを扱います。

授業で扱う3つの領域

技術

作画とデジタル

ペン入れ・仕上げ・背景・トーン

ソフトの操作まで含む

構成

ネームと物語

キャラ設計・コマ割り・演出

読ませる力をつくる

実務

持ち込みと講評

編集者への提示・作品の完成

デビューの入口

近年はアナログを前提としない、デジタル中心のカリキュラムが主流になっている。

図1:漫画の専門学校で学ぶ内容

技術、構成、実務の3つが柱になります。とくにネームと物語の作り方は、独学では自己流になりやすい領域です。

近年はデジタルが前提になっている

紙とペンから始める学校は減り、液晶タブレットとソフトを使う前提のカリキュラムが主流です。現場の制作がデジタルへ移行したためです。

そのため機材が必要になります。学校が貸し出す場合もあれば、自分で購入する場合もあります。

液晶タブレットは安いものでも数万円、ソフトは年額のライセンスが一般的です。学費に含まれるかどうかは学校で分かれます

完成させる訓練が中心になる

デビューにも就職にも、完成した原稿が要ります。上手い絵を描けることと、1本を最後まで仕上げることは別の能力です。

締切のある課題と講評が繰り返される環境は、この訓練に向いています。独学でつまずく人の多くは、完成させる前に手が止まります

学費はいくらかかるのか

まず年間の学費から見ます。2年制の実例では年間147万円です。

年間学費147万円の内訳(2年制の実例)

  • 設備費34万円
  • 授業料90万円
  • 実習費23万円

名称は学校により異なる。設備費・実習費が別建てになっている点は共通しやすい。

図2:年間学費の内訳

内訳は設備費、授業料、実習費に分かれます。学校の見積もりを比べるときは、この内訳がそろっているかを確認してください

教材費が別になっている学校も多くあります。液晶タブレットなどの機材代が、あとから加わる形です。

教材費の案内が入学直前になる学校もあります。金額が確定するのが遅いため、余裕を見ておくのが安全です。

入学金と教材費を忘れない

年間学費のほかに入学金がかかります。実例では全学部共通で15万円です。

この入学金は初年度だけで、2年次以降はかかりません。ただし一度納めた入学金は、辞退しても返金されないのが一般的です。

入学金の免除制度を持つ学校もあります。その多くは出願時期に締切があり、遅れると対象外になります。

卒業までの総額は通い方で決まる

年間学費だけでは判断できません。入学金を足して、卒業までの総額を出します。

入学金を含めた、卒業までの総額の実例

オンライン 2年制233万円
週3日通学 2年制257万円
全日 2年制309万円
全日 3年制441万円

同じ学校でも通い方で208万円の差が出る。教材費は含まない。

図3:通い方別に見た卒業までの総額

いちばん安いのはオンラインの233万円、いちばん高いのは3年制の441万円です。同じ学校でも208万円の幅があります。

他校の実例として、代々木アニメーション学院の専科は2年制で3,063,000円、3年制で3,795,750円です。学校が変わっても、300万円台という水準は近くなります。

注意したいのは、3年制の年間学費が2年制より安い場合があることです。実習費が下がるためですが、通う年数が増えるので総額は上回ります

診断:あなたに合う通い方はどれ?

重視することに、いちばん近いものを1つ選んでください。

オンラインの2年制

総額233万円が目安です。校舎の設備や対面の講評は受けられないため、自分で制作を進められる人向けになります。

週3日通学の2年制

総額257万円が目安です。授業時間が減る分、空いた時間を自主制作に回せるかどうかが結果を分けます。

全日の2年制

総額309万円が目安です。1年目から持ち込みや投稿を始めないと、2年目の進路選びに間に合いません。

全日の3年制

総額441万円が目安です。年間学費は2年制より安いことが多いものの、総額は最も大きくなります。

高等部のある学校

通信制高校と併学する形が一般的です。学校の学費と高校の学費が別々にかかるため、合計で判断してください。

学校を比べるときに見るべき5つの基準

校名を並べても比較にはなりません。同じ項目でそろえて初めて比べられます。

パンフレットではなく、この5つで比べる

1デビュー実績の中身

人数ではなく年度・専攻・媒体を見る

2講師が誰か

現役かどうかと、指導の頻度を確認

3機材と設備

液晶タブレットや作業環境の貸出

4持ち込みの機会

編集者に見せる場が年に何回あるか

5返金と締切の条件

入学金免除の期限と返金不可の日付

図4:学校選びで見るべき5つの基準

デビュー実績は中身まで見る

「デビュー多数」という表記だけでは判断できません。確認したいのは次の3点です。

  • いつの卒業生の実績か
  • どの専攻・どの校舎の実績か
  • 掲載された媒体と、連載か読み切りか

年度も専攻も書かれていない実績は、比較材料になりません。説明会で聞けば具体的に答えてもらえます。

答えを渋られる項目があれば、それ自体が判断材料です。実績に自信がある学校は、細かく開示してくれます。

持ち込みの機会が年に何回あるか

もっとも実利があるのがこの項目です。編集者に作品を見せる機会が、そのまま次の一歩につながります。

出版社と連携した講評会や、編集部を招いた持ち込み会を定期的に開く学校があります。回数と相手を具体的に聞いてください

認可校と無認可のスクールがある

見落とされやすいのがこの区別です。同じように見えても、制度上の扱いが違います。

同じ「専門学校」でも制度上の扱いが違う

認可校(専修学校)

  • 専門士の称号が付く
  • 大学への編入学資格が得られる
  • 通学定期の学割が使える

無認可のスクール

  • 称号は付かない
  • 編入学資格は得られない
  • 学割の対象外

校名に「専門学校」と付かず「専門校」「スクール」と名乗る場合は無認可のことが多い。

図5:認可の有無で変わること

認可された専修学校であれば専門士の称号が付き、大学への編入学資格も得られます。無認可のスクールは対象外です。

ただし漫画やイラストの仕事は、採用も持ち込みも作品審査が中心です。称号が効いてくるのは、進路を変えたくなったときになります。

もう1つ、資金面にも影響します。日本学生支援機構の奨学金は認可校であることが前提の制度のため、無認可のスクールでは使えない場合があります。

奨学金を前提に資金計画を立てているなら、志望校がどちらなのかを最初に確認してください。認可の有無で何が変わるのかは、系列校を例に別記事で詳しく解説しています。

卒業後の進路とデビューの現実

入学すればデビューできる、という仕組みは存在しません。在学中の動き方で結果が変わります。

在学中の動き方で、卒業後の道が決まる

在学中に完成原稿を積み上げる

作家として進む

  • 持ち込み・投稿・Web連載
  • 担当が付いてから長い助走がある

制作側で働く

  • アシスタント・編集・グッズ制作
  • 選考はポートフォリオ中心

どちらの道でも、評価されるのは学校名ではなく完成させた作品の数と質。

図6:卒業後に進む2つの道

作家として進む道と、制作側で働く道があります。どちらも共通して求められるのは完成した作品です。

デビューまでには助走がある

担当編集が付いてから連載に至るまでには、通常いくつもの段階があります。ネームを何度も直し、読み切りを重ねる期間が必要です。

在学中にデビューする人もいますが、卒業後に決まる人のほうが多くなります。2年で結果が出なかったことを失敗と考えないでください

作る側以外にも道がある

マンガに関わる仕事は作家だけではありません。アシスタント、編集、グッズ制作、Web媒体の運営など、幅があります。

入学前から1つに絞る必要はありません。ただし専攻選びで進む方向は変わるため、早めに方向性を決めておくと迷いが減ります。

作家として立つことだけを成功と考えると、選択肢が狭くなります。マンガに関わり続ける形は、作家以外にもあります

診断:あなたはどの道を目指す?

目指したいものに、いちばん近いものを1つ選んでください。

持ち込みの機会が多い学校を選ぶ

在学中に編集者へ見せた回数が、そのまま結果につながります。年に何回の持ち込み機会があるかを説明会で確認してください。

イラスト系専攻のある学校を選ぶ

就職ではポートフォリオが評価されます。作品を商品として成立させる工程まで扱う専攻が向いています。

作画の実務量が多い学校を選ぶ

背景や仕上げの速度が問われます。デジタル作業の環境と、実習の時間数を確認してください。

文芸・編集系の専攻がある学校を選ぶ

マンガ編集やノベルを扱う専攻があります。作る側と支える側では必要なスキルが違うため、早めに決めてください。

2年制で幅広く扱う専攻から始める

専攻選びは入学後の変更が難しい学校もあります。迷うなら、作画と構成の両方を扱う専攻を選んでおくのが安全です。

専門学校・大学・独学はどう違うのか

専門学校が唯一の道ではありません。3つのルートを整理します。

項目 専門学校 大学・美大 独学
期間 2〜3年 4年 制限なし
費用 233万〜441万円 学校により幅がある 機材と教材の実費
強み 実務と持ち込み機会 学位と幅広い進路 費用と自由度
つまずく点 目的が曖昧だと流される 実技の時間が少ない 完成させられない

どのルートでも、描いて完成させた量が実力を決める点は同じです。選ぶ基準は「どこなら自分が描き続けられるか」になります。

迷ったら独学で数か月試す

適性がまだ分からないなら、先に独学を試してください。数か月続くかどうかが、そのまま答えになります。

続かなかった場合、233万円を先に払わずに済みます。続いたなら、環境を買う判断に自信が持てます。

1年遅れても取り返しはつきます。専門学校は年齢制限を設けていない学校も多く、社会人からの入学も珍しくありません。

出願前に確認したい5つの手順

行くと決めたら、順番に確認して失敗の芽を摘みます。

資料請求のあとに踏む5つの手順

志望校の公式サイトで、年間学費と入学金を確認する

入学金を足して、卒業までの総額を計算する

デビュー実績を年度・専攻・媒体まで確認する

オープンキャンパスで在校生の原稿と機材を見る

入学金免除の締切と、返金されない日付を確認する

図7:後悔しないための確認手順

とくに5番目を飛ばさないでください。入学金免除に締切がある学校では、出願が1か月ずれるだけで十数万円の差が生まれます。

返金されない日付も同様です。多くの学校で入学日または進級日を過ぎると、学費は戻らなくなります。

迷いがある状態で早く納入すると、その金額はそのまま戻りません。免除の締切と返金不可の日付を並べて、動く時期を決めてください。

よくある質問

漫画の専門学校について、進路相談で多い5つの疑問に答えます。

漫画の専門学校の学費はいくらですか?

入学金を含めた総額の実例では、オンラインの2年制で233万円、全日の2年制で309万円、全日の3年制で441万円です。教材費は別途かかります。

絵が下手でも入れますか?

入学試験で画力を問わない学校が多く、未経験から始められます。ただし入学後に描く量は自分で決めることになるため、意欲が結果を左右します。

専門学校に行けばデビューできますか?

できるとは限りません。デビューは持ち込みや投稿の結果で決まり、評価されるのは学校名ではなく完成させた作品です。

2年制と3年制はどちらがよいですか?

短期間で就職や持ち込みまで進みたいなら2年制、基礎から時間をかけたいなら3年制が向きます。総額は3年制のほうが100万円以上高くなります。

独学ではだめですか?

独学でもプロになった人はいます。専門学校が提供しているのは技術より、締切と講評と仲間がある環境です。

まとめ:総額と基準を決めてから学校を選ぶ

本記事では、漫画の専門学校で学ぶ内容、学費の総額、学校選びの基準、卒業後の進路について解説しました。

校名を並べて悩む前に、比べる軸を決めるほうが早く進みます。軸はデビュー実績の中身、持ち込みの機会、そして総額の3つです。

通い方によって、用意すべき金額は233万円から441万円まで変わります。まずここを確定させてください。

パンフレットの言葉ではなく、公式サイトの学費一覧と締切で判断してください。そこまで確認できれば、あとは描く量の問題になります。